所有不動産記録証明制度について


令和8年2月2日に所有不動産記録証明制度がスタートしました。

これは、全国の不動産登記記録を対象に個人の所有する不動産を検索してリスト化してくれるサービスです。全国の法務局で、このリスト化した証明書を取得することが可能となりました。
もともと各自治体が固定資産税を課すために名寄帳と呼ばれる不動産のリストを持っていますが、これは自治体ごとのリストになるので、他の自治体に所有する不動産まではリストに載りません。

名寄帳と所有不動産記録証明制度の違いを表にしてみました。

名寄帳所有不動産記録証明制度
主体自治体(市町村)法務局(国)
根拠となるもの固定資産課税台帳不動産登記簿
上記の作成目的税金徴収のため権利の公示
検索範囲その自治体のみ日本全国
作成のタイミングその年の1月1日時点で毎年作成される。請求時に作成されるが、登記簿自体は過去の一定時点のもの
評価額の記載
未登記建物・表示登記のみ・改製不適合物件記載されることが多い記載されない
公衆用道路非課税のため記載されないことがある。(検索でヒットすれば)必ず記載される。
手数料1通300円の自治体が多い検索条件1件につき
1600円(オンライン請求なら少し安くなる)

請求できる人

ア.所有権の登記名義人(法人を含みます。)
イ.上記の相続人その他一般承継人(法人を含みます。)
※代理人による請求もできます。

 アについては、このような証明制度を創設した場合に、第三者から請求権者が所有不動産記録証明書の提出を強要される怖れがあるなどとして請求権者に含めるかどうか議論がなされましたが、もともと登記情報が一般に公開されていること等を理由として、過度に厳格な保護を図る必要性はないと考えられるとして請求権者に含められました(中間試案の補足説明、P.193)。
 イについては、相続放棄をした者は請求権者に含まれないと解されていますが、登記官の方では相続権を失っていることまで積極的に確認する必要は無いという取り扱いになりそうであり、注意を要するところです。
 代理人については、法定代理人(親権者又は未成年後見人、成年後見人又は代理権付与の審判のある保佐人・補助人、不在者財産管理人、相続財産管理人・清算人)のほか、破産管財人も含まれると解されています。また、本制度における証明書交付請求に関する書類作成は司法書士法第3条第1項第2号に該当するものと考えられており、資格者代理人としては弁護士又は司法書士に限定されるものと解されています(「不動産登記規則等の一部を改正する省令案に関する意見募集の結果について」(パブリックコメント)を参照)。

必要書類

・印鑑証明書
・本人確認書類の写し
・過去の氏名や住所を検索条件とする場合、これらを証する情報(戸籍の附票等)

(相続人が請求する場合、上記に加えて)
・所有権の登記名義人との相続関係・承継関係を証する情報(戸籍謄本等)
・被相続人又は被承継人の過去の氏名や住所を検索条件とする場合、これらを証する情報(戸籍の附票・除籍謄本等)

(代理人が請求する場合、上記に加えて)
・委任状(請求権者の実印を押印し、請求権者の印鑑証明書を添付する)

手数料

検索条件1件につき、1通当たり1600円(法務局にて書面を提出する場合)
※オンラインで請求する場合はもう少し安くなります。

検索条件について

 検索条件については異体字の問題があります。例えば「斉」の字や「辺」の字は数多くの異体字が存在しています。この漢字が含まれるお名前については代表文字検索が行われるものとされています。私もなかなか理解できてないのですが、簡単に言うと戸籍や不動産登記記録にて使用されている膨大な文字群をわずか約1万字の文字(JIS X0213)にグループ分けして紐づけをし、検索できるようにした仕組みのようです。この約1万字の文字を代表文字といったり縮退文字といったりします。下の表は法務省ホームページに記載されている「斉」の字の縮退文字の例になります。

(法務省ホームページより抜粋)


 上記の仕組みを通じて検索を行うため、リスト化された証明書は単に検索キーにヒットした結果であり、真に所有権者であることを証明するものではなく、またリスト化された所有不動産が完全に網羅的であるということを保証するものでもないということに注意が必要です(中間試案の補足説明、P.193)。

参考

法務省ホームページ
法務省:所有不動産記録証明制度について

令和元年12月3日民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関
する中間試案001312343.pdf

令和2年1月民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案の補足説明001312344.pdf

民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(所有不動産記録証明書の交付等関係)(令和8年2月2日付け法務省民二第81号通達)001455600.pdf


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